佐々木 学 さん
花に向き合い、大自然と共に暮らす
SASAKI MANABU
秋田県にかほ市象潟町出身。秋田市内の大学を卒業後、宮城や東京で約20年働く。地元の農村風景への懐かしさが募ったことと、高齢になった両親のために2017年にUターン。2019年から就農し、菊を生産している。
せっかくなら、田舎らしさを楽しもう!
私は、秋田市内の大学を卒業後、都会で暮らし始めました。最初は宮城、その後に東京で働きましたが、満員電車に揺られる生活の中でふと、高齢になる両親が心配になったり、地元の畑の風景を思い出したりして…。だんだんと、「いつかは地元に帰ってのんびり暮らしたい。せっかくなら田舎らしさを楽しめる農業をやってみたい」という思いが高まっていきました。
その後、情報を集める中で、新規就農者を増やすために行われる「新・農業人フェア」を訪れたのがターニングポイントになりました。フェアの中で秋田県農業公社の方に勧められた、2泊3日の農業体験ツアーに参加したところ、いろんな農業の様子を実際に見てイメージが湧き、就農を決意できたんです。2017年には地元に戻り、新規就農者のための「未来農業のフロンティア育成研修」を2年間受講して、花き農家になりました。都会での仕事は接客業がメインだったので、「ものを作る楽しさ」に惹かれたことも大きかったと今になっては思います。
ちゃんと儲かる、達成感もある農業
農業の中でも、私は菊を栽培しています。最初はたくさんの品目を栽培することに憧れていたんですが、にかほの園芸メガ団地(現在8名)に参加しないかと声がかかって、花をやることになりました。農業は稼げないというイメージを持つ人もいると思いますが、菊はすごく儲かるんです!お盆やお彼岸の必需品ですからね。その時期にばっちり合わせて咲かせないと途端に値段が急落してしまうので、注意して栽培しています。残念なところは、食べられないことですね。
4月から11月までは、休みなく菊に向き合う日々を送っています。朝露に濡れたまま収穫すると菊が腐ってしまうので、乾き始める朝8時くらいから収穫作業をスタートし、60アールの畑と、80坪のハウス2棟とで栽培する20万本弱を全て収穫できるように、シルバー人材センターの人や近所の人に手伝ってもらっています。炎天下での作業なので、頼む時は「暑さに強い人をお願いします」と言っているくらいです。また、にかほ市のJAが出荷場を整備していて、そこに菊を持っていくと箱詰めして出荷してくれるので、栽培と収穫に集中できて本当に助かっています。冬になる前に、畑の片付けと、来年の苗を育てる作業を終わらせて、その年の作業は終了となります。
のんびり暮らしたいと思って農業を始めましたが、結局、毎日忙しい日々を送っていますね。ただ、達成感を至るところで感じることができます。草取りを綺麗にできた時や、すべて期間内に収穫できた時なんかは嬉しいです。「手をかけた分だけいいものができる」と農家の先輩から聞いていたように、確かにさまざまな場面で満足感を感じられる仕事です。
佐々木さんが菊を育てるハウス
ハウス内は、収穫を待つ 菊がぎっしり!
菊は、お盆とお彼岸の必需品
家族と楽しむ、「すぐそこ」にある大自然
にかほ市は、自然災害が少なく、雪も少ないので過ごしやすいと思います。農業を営む者としては、そこはとても重要ですね。
そして、初めて農業をやる人には相当手厚い支援を受けられるのも魅力です。私自身、自己資金ゼロから始めたんですよ!農業の知識もありませんでしたが、報酬をもらいながら農業研修を2年間受けられる制度や、トラクターを無償で貸してもらえる補助を活用して始めることができました。にかほ市には新規就農者のアドバイザーがいますし、ハウスの圃場探しや税金の申告の仕方などを教えてくれる方もいます。移住を検討している方は、公的なサポートが整っているのでまずは相談してみるといいと思います。
そして何より、両親と一緒に暮らせてよかったです。父と母から「戻ってきてもらえて、色々助かるよ」と言ってもらえていますし、農作業が終わった夕方に、両親と近所を散歩して過ごす時間には幸せを感じます。家から海まで徒歩数分で、鳥海山にも30分以内に行けるので、「今日はちょっと鳥海山を通って帰ろう」とドライブすることだってできちゃいます。親戚には漁師がいて、余った魚をもらったりすることも。まさに「海と山のまち」だと思います!
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